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 妊娠を目指す活動を表す「妊活」という言葉は、すっかり一般的になりました。排卵日を推測するための各種アプリや、様々な成分のサプリが充実。しかし、セックスと「妊活」の間には、ちょっとした溝もあるようです。

 体質、栄養素、高度生殖医療……。様々なことが語られる妊活ですが、パートナーとの性交については今もなかなか語りにくい雰囲気があります。記事後半では、「不妊ルーム」を長らく運営する男性医師、日本産科婦人科学会認定専門医の女性医師は、妊活中に追い詰められる男女が多い現状を指摘し、対策を語ります。

 「妊活がつらい、パートナーとすれ違う、という声をよく聞く。『排卵日ED(勃起不全)』の言葉があるぐらいで妊活中のセックスのイメージが良くない。性に携わる会社として、知識と共にパートナーとの豊かな関係を提唱したい」。そう話すのは、アダルトグッズを手がけるTENGAのグループ会社・TENGAヘルスケアの広報担当者。「妊活は、『きっかけ』だ」と呼びかけて、4月、サイト「ニニンカツ」を開き、妊活に特化した取り組みを始めた。

 妊活では、まずは排卵日を調べて妊娠しやすい時期を狙って性交する「タイミング法」から始めるのが一般的だ。ただ、同社が妊活中の男女700人に妊活の悩みについてアンケートしたところ、1位が「疲れや忙しさで性交が面倒くさい」、2位が「仕事の都合で適切なタイミングに性交できない」とタイミングを合わせることの難しさが相次いだ。さらに5位は「性交が義務的になってしまい嫌になる」。ネガティブな思いを抱く人も多いようだ。

 サイトでは、性交を伴わずに注射器のようなもので精子を膣(ちつ)内に注入する「シリンジ法」の案内や、自分が性交に何を求めているのかやパートナーとの関係を見つめ直す「セックス診断」などを設けている。

 2011年に女性誌「FRaU」が特集を組んだことをきっかけに、各メディアが相次いで取り上げて世間に定着した妊活。精子や卵子の働きをよくするための食事、妊娠に向けた体作りなど様々な情報があふれる。「卵子の老化」の知識が広く浸透して、議論がありながら卵子凍結などの選択肢も広がってきている。ただ、妊娠に結びつくセックスについては今もなかなか公にはしにくい。

タイミング見極めすぎ?「不妊ルーム」医師の懸念

 こうした状況に、「妊活や不妊治療を始めるとセックスが変容し、逆に妊娠が遠のいてしまうようなことが見受けられる」と話すのは、こまえクリニック(東京都狛江市)の放生(ほうじょう)勲院長だ。

 自身が不妊治療の当事者とな…

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